アジア圏のカジノ、コロナショックから回復の兆し

今年2020年は、コロナウイルス感染拡大の煽りを大きく受け、世界中のカジノが大きな経営不振に陥っていました。パンデミックが騒がれ出し、世界各国でロックダウン等の処置が始まってから早8ヶ月が経過し、その影響は甚大なものになっています。感染の勢いがいつ収まるのかという見通しを立てることは未だに難しく、「3年はかかるだろう」と言う専門家もいます。そんな、悲観的にならざるを得ないニュースも多い中、アジアから明るいニュースが届きました。

マカオでカジノホテルを所有し運営しているGalaxy Entertainmentは、10月のEBITDAはプラスだったと報告しました。また、11月も同様プラスになる見込みとのこと。また、同じくマカオのカジノ経営会社Jeffriesも、大きな回復の兆しを見出していると言います。

感染拡大中は、オンラインカジノが主流に

コロナウイルスが文字通り世界中で猛威をふるっていた過去8ヶ月間、カジノ業界は自然の成り行きでオンラインカジノが主流になっていました。オンラインカジノとはインターネット上でカジノゲームを遊べるサイトのことです。日本からもアクセス可能で、日本語対応のサイトも今ではたくさんあります。最近もラーメンベットカジノのような新しいサイトが日本進出を果たしています。しかし、やはり、ランドカジノ(店舗型カジノ)には、オンラインカジノでは代替できない、バカンス要素や臨場感等の魅力があります。

国のコロナ感染防止のための規制がネック

前述のような大きなカジノ運営会社はもともと世界各地に強い顧客プロファイルを持っていることが多く、このことが経営回復にポジティブな見通しをもたらしています。衛生管理をはじめとしたそれなりのコロナウイルス感染対策さえしていれば、来たい気持ちのある顧客はたくさんいるーそこで、何がネックになっているかというと、国の規制です。

鍵を握るのは、中国の個人訪問スキーム(Individual Visit Scheme)

(カジノ業界に限ったことではありませんが)世界中のカジノの大きなシェアを握るのは、やはり、中国からのビジターです。マカオをはじめとしたアジア各国のカジノも、収益は中国人顧客頼りの部分も大きくありました。そこで、コロナウイルス感染拡大が始まった際に障害となったのが、中国がコロナ感染予防措置として個人訪問スキーム(Individual Visit Scheme)を一時停止したことでした。

個人訪問スキームとは、中国が発行しているマカオと香港向けの旅行者用ビザです。SARSが大流行した際に大きな打撃を受けた経済回復措置として、マカオおよび香港への観光客を増やすために2003年に導入されました。この個人訪問スキーム(IVS)は、この2つ(マカオと香港)の特別行政区を訪れる中国大陸からの旅客の間で、最も一般的に使用されるビザの1つになり、2019年には訪マカオ旅客全体の47%を占めていたほどメジャーなものでした。

この個人訪問スキームの一時停止という、新型コロナウィルス拡散防止を狙いにしたこの最新の非常措置によって、基本的に中国大陸から香港とマカオへの個人旅行はできなくなっていました。すなわち、マカオは旅客全体の47%を失っていたことになります。影響が甚大なものであったことは、想像にかたくありません。

この個人訪問スキームの規制が先日になって緩和され、このことが、カジノ業界の経営回復に大きく寄与していることは、言うまでもないことです。中国は近日中にさらなる緩和の適用を予定しており、カジノ業界に徐々に明るい兆しが見え始めています。